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糖尿病

甘く見ると恐い「糖尿病」

特にこれといった身体の不調を感じていないのに健診や人間ドック等の検査後、初めて診断を受けて驚く患者さんも多い「糖尿病」―
「糖尿病」と診断名がついても全く自覚症状がない方もいる一方、発見された時点で緊急入院が必要なほど深刻な状態に陥る方もいます。程度や幅が非常に広い油断ならない病です。決して甘く見ず、厳密に経過観察・フォローされるべき病と言えます。日本において糖尿病は高血圧についで第二位の患者数となっています。

どんな症状が出るの?

 特徴的な症状としては、
 ● 口渇:口が乾く
 ● 多飲:大量に水分を取る
 ● 多尿:排尿が多い
 ● 疲れやすい
 ● 体重減少
などが一般的に患者さん御自身が感じやすい症状です。

また、急激に糖尿病を発症するケースもあります。 症状の程度がひどい場合は、重度な脱水・血液が酸性化する(アシドーシス)状態でこん睡状態に陥る危険な場面も、実際の診療現場では珍しくありません。 糖尿病は慢性の経過をたどる病です。 のちに触れますが、合併症の症状が大きな問題となります。 糖尿病は急激な発症をしないかぎり、状況をご自身だけでは理解しにくい病です。 だからこそ、軽く考えると非常に怖い病気なのです。

どうして起きるの?

血糖を下げるために重要な「インスリン」という物質があります。 そのインスリンの作用が足りなくなると血糖の高い状態が慢性的に持続します。 大きく分けてその要因は二つあります。
 ● インスリンそのものの分泌が少なくなる場合
 ● インスリン抵抗性という状態になる場合

「インスリン抵抗性」とは血液中のインスリン濃度に見合った作用が得られない状態のことをさします。通常はインスリンが分泌されるとその量に合わせ作用が現れますが、「インスリン抵抗性」とはインスリンがたくさん分泌されていても、体内に存在しないかのように血糖が下がらない状態になります。車で例えるならば、エンジンはふかしているもののギアが噛み合っていないので車が動けないという状態です。

どんな種類があるの?

一般的には糖尿病は二種類に分けられています。

1型糖尿病

インスリンを合成・分泌する膵臓の細胞が破壊・消失していることが主な原因です。つまりインスリンの工場そのものが稼働できない状態です。1型糖尿病は大人の患者数は少なく、圧倒的に小児期での発症が多いです。親からの遺伝の要素は少なく、肥満とは関係ないケースがほとんどです。

2型糖尿病 

いわゆるメタボリック症候群の方が多いです。
 ● 脂肪の多い食事・過食・運動不足
 ● それにともなう肥満や精神的ストレスといった環境的な問題
 ● 両親から受け継いだ遺伝子の原因
などが密接に絡み合っています。一般的にメタボと言われる人たちは、インスリン抵抗性が背景にあることが多いです。

その他、特殊なものとしては
 ● ステロイドなどの薬物の副作用で起きる糖尿病
 ● 妊娠がきっかけで起きる糖尿病
 などもあります。

どんな問題が起きるの?

一言で言うと合併症です。症状なく合併症が起きる、つまり診断されるまでに状況がかなり悪化しているという問題が起こります。特に2型糖尿病はその多くの場合、症状があっても軽いため特有な合併症を持つケースも珍しくありません。 具体的には眼・腎臓・神経などに障害を起こします。

例えば、眼に関して代表的なものは網膜症と白内障があります。特に網膜症は失明に至る可能性があり、決して軽く見てはならない病です。

腎臓に関しては慢性腎不全となり、透析に至る可能性があります。週何回かの透析が必要になる状況は、仕事をバリバリこなす気概があっても現実的には透析の機械の前に拘束される時間が長くなります。それはご自身にとって非常に残念な状況のはずです。慢性的な浮腫(むくみ)やそれを是正したあとのこむら返り、ムズムズする足の感覚で悩まれる患者さん(むずむず脚症候群、レストレスレッグ)も少なくありません。

神経の合併症に関しては暑さや痛みに対して鈍感になったり、逆に痛みに過敏になられるケースもあります。お風呂の温度がわからなくなり、熱いお風呂に入って大ヤケドをする患者さんもいます。皮膚から菌が入りやすくなり新たな感染症を引き起こしたり、足の爪から菌が入り足壊疽が起きるなどのトラブルもあります。ED(勃起障害)や足のしびれ、発汗異常、便秘、下痢など、実際の症状は多岐に渡ります。

これらの合併症を防ぐにはどうしたらいいの?

血糖が急激に上昇または下降を繰り返す状態や、慢性的に血糖が高い状態が続くとさまざまな合併症を誘発しやすくなります。危険を減らすためには血糖の急激な上昇・下降を防ぎ、慢性的に血糖が高い状態を減らす必要があります。

「ヘモグロビンA1c(HbA1C)検査」といった言葉を聞いたことがありますか?
この検査は、採血を行ってから過去1~2か月間をさかのぼって平均の血糖値を知ることができます。
HbA1Cは6%以下など低ければ低いほど良いという意見が昔は主流でした。しかし低血糖や合併症のリスクなどの報告が続き、2013年からは各個人に合わせてそれぞれ目標設定をするべきと認識が変化してきています(『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』より)。

ではHbA1cは一体どの程度まで許容できるのでしょうか?
糖尿病を持つ日本人が、どのように血糖コントロールを行えば合併症の発症や悪化を抑制できるかを検討した「KUMAMOTO STUDY(ランダム化比較試験)」といった大規模な研究があります。それによると、HbA1cが6.9%未満であれば合併症の出現する可能性が少ないことが報告されており、ひとつの目安と言えるでしょう。

患者さん自身は症状がない場合もあり、クリニックでの客観的な評価や定期的な診察が必要です。一方で、患者さんご本人が食事や運動など日頃の生活で注意すべきことを意識することは非常に重要です。患者さんと医療スタッフとの二人三脚で合併症を防ぎましょう。

どうやって診断するの?

一般的な糖尿病の場合、HbA1cおよび血糖の数値で診断がなされます。 血糖に関して言えば空腹時・空腹時以外、およびOGTTという検査などを用いて、それぞれの条件の違いで判定基準が設けられます。状況によっては別日に検査をして確定するケースもありますが、基本的には以上の手順によって診断をつけます。 全てこちらの院内にて短時間で検査結果が判明します。

どういう治療をするの

主に3つの柱によって治療を行います。
 ● 食事運動療法
 ● 内服薬による治療
 ● 注射治療

食事運動療法

糖分の過剰摂取や摂取方法を見直し、また運動を組み合わせることで糖などの代謝を改善し安定した状態に導きます。インスリン抵抗性がある方は、それを改善するような生活全般に変える必要があります。インスリン抵抗性を改善するためには薬物療法も大切ですが、実は食事運動療法が大きなカギを握っています。

内服薬による治療

内服薬による治療に関しては一般的には大きく二つに分けてアプローチします。
 ● インスリン分泌をうながすもの
 スルホニル尿素薬 DPP-4阻害薬など
 ● インスリン抵抗性を改善するもの
 ビグアナイド薬 チアゾリジン薬など
  があります。

また近年新しく開発された薬としてSGLT-2阻害薬という腎臓から尿へブドウ糖を排泄促進するタイプの薬も登場しています。 内服薬には副作用がありますので、それぞれ注意が必要です。 特にインスリンを含め薬物治療は、低血糖という脳障害を起こしうる副作用のリスクがあり、使用に際してはあらかじめ主治医から説明を受ける必要があります。

注射治療

1型糖尿病は極めて早期発見されたケース以外では、一生インスリン注射が不可欠です。 しかし2型糖尿病は必ずしもインスリン注射は必要ではありません。2型糖尿病の場合は各個人でインスリンに依存する度合いの強さにかなりの幅が認められるため、インスリン注射が必要となる場合もあります。急激に低血糖になったり高血糖になる患者さんは、緊急入院が必要な場合もあり、厳重に治療や定期的な通院を心がけることが重要です。 注射薬の中にはインスリン以外のもので、GLP1受容体作動薬という新しいタイプの薬が昨今用いられています。週一回の注射でコントロールが良好となるGLP1作動薬もあります。

どれくらいの回数で治療できますか?

実は糖尿病は一生治らない病気だと言われています。体質同様、これからずっとどうつきあっていくかを考え直さなければならない病気です。敵視することなく、いかにうまくコントロールしながら生活するかという考え方が大事な病気です
もちろん個人差があるものなので、一生インスリンを打ち続けなければならない人もいればある程度予備力がある方は飲み薬だけで対応できる場合もあります。場合によっては食事と運動療法だけで薬内服そのものもいらない場合もあります。定期的に見ていかないと合併症も含めて怖い病気であることは事実です。

糖尿病を疑われた方、緊急性を感じなくとも受診ください。 急な環境の変化がありそのストレスが非常に強すぎた方、深夜帯に食事を日常的に繰り返している方、暴飲暴食を重ねることでインスリンを作り出す細胞が一気に壊れる方向に向くと重症な状態で見つかる場合もあります。 緩やかに症状が進行していく場合は、早めに健康診断等で見つかったことで幸いインスリン注射や激しい治療にまで至らず、食事療法や運動療法でうまく改善されるケースもあります。

あるいは健診で異常が見つかったけれども、まだ黄色信号の状態(東洋医学では未病と呼ばれる段階)いわゆる「境界型」と呼ばれるケースでは、翌月や数か月後の再診で再確認する場合もあり千差万別です。かなり個人差が大きな病気です。 しかし、何度も繰り返しますが重い段階にある方でも自覚症状がない場合もある、というのが糖尿病のやっかいな特徴です。早期発見・早期治療が鍵を握る病気です。健診などで異常に気づけたことをチャンスととらえてぜひ前向きに受診してください。

当院の診療方針

急激に血糖を下げる治療を行うと網膜症など合併症の出現が増えることが報告されています。単に数字を改善するのではなく、患者さん本人の余命、生活の質を担保するべく現時点とその先を見据えた治療を心がけています。当クリニックでは短時間で結果が出るHbA1c測定器を用意しています。糖尿病を含む生活習慣病には力を入れて取り組んでおります。

 糖尿病の治療ポイントは二つあると考えています。

ひとつは食事運動の生活習慣を含めた、東洋医学で言うところの「未病」の管理。 もうひとつは西洋医学だけでなく、東洋医学も取り入れた薬物治療・鍼灸治療からのアプローチを軸に考えます。

西洋医学で治療できる領域は広いですが、合併症として起こりえる冷え性や浮腫・むくみ・しびれなどは意外と西洋医学は不得手としている領域です。逆に東洋医学にとっては温める手段や力を補う、痛みを取るなどの術は得意分野です。

東洋医学については科学的に解明が弱いというわけでは決してなく、最近では桂皮(ケイヒ)に血糖を改善する作用があることが研究報告されています。歴史的に糖尿病に有効とされてきた漢方薬に八味地黄丸(ハチミジオウガン)というものがありますが、その生薬には桂皮が含まれています。経験的に糖尿病に有効とされてきた歴史的な漢方薬がなぜ効くのかが近年ようやく科学的に解明され始めました。今後も漢方薬の需要は増える時代を迎えていると思います。日本東洋医学会の専門医でもある私の経験を活かし、合併症を含めた自覚症状の改善がなかった方もぜひ受診を考えてみていただければ幸いです。

漢方の治療も必要に応じて可能です。保険適用の漢方薬を含めて対応可能です。ただし、未病の領域の治療に関してはワクチンと同様、保険の適用がしにくい場合もあります。その場合、自由診療を提示させていただき、相談の上治療に用いることが可能です。ご不明な点があれば気がねなくお問い合わせください。

その他

現在、糖尿病の治療をされている方で、1日3回錠剤を飲んでいらっしゃる患者さんはおそらくメトホルミンという薬を使用されているのではないでしょうか。古い薬で販売開始は約50年前になります。新薬の陰に隠れて最近までは決して主流ではありませんでした。ところが糖尿病ガイドラインとしてアメリカ(ADA)、欧州(EASD)が2012年薬物治療の全症例にメトホルミンを用いるように提言を出しました。その後日本でもメトホルミンは復活を遂げました。さらにメトホルミンは長寿と関係があると近年報告が相次ぎ、日本の厚生労働省にあたるアメリカのFDAが承認した長寿に関するメトホルミンの臨床試験がなされています。

メトホルミンは中世では薬草として用いられたフレンチライラックから抽出された物質グアニジンが基となっています。その歴史を知らない状態で当薬を用いている医師も多いことでしょう。メトホルミンはグアニジンから生成されましたが、そのグアニジンを含む生薬があります。それが黄柏(オウバク)です。またグアニジンの仲間であるグランタゴグアニジン酸を含む生薬に車前子(シャゼンシ)があります。興味深いことに歴史的には東洋医学においても糖尿病の治療にこれらの生薬は多く用いられてきました。これらの生薬を含む処方に牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)・清心蓮子飲(セイシンレンシイン)があります。これらの処方に関してはランダム化比較試験の報告があり、各処方が糖尿病に有用であることが知られています。黄柏(オウバク)は日本の修行僧も好んで用いた民間薬としての歴史もあります。奈良県の「ダラニスケ」は黄柏そのものですが、健康を維持するために修行僧も用いてきました。アメリカでは今長生きの薬として注目を集めるメトホルミン―歴史的には新旧の違いはあれど、物質としては同じものを見出しているのかもしれません。

東洋医学は“古臭い役に立たないもの“と感じられる方もいるかもしれません。しかし今50年間の歴史をもって注目が一度途絶えたメトホルミンが再度脚光を浴びているごとく、東洋医学も古いと切り捨てるのではなく、むしろ新しい治療薬としての可能性を帯びています。実際に西洋医学で効果ある治療が期待できなかった方が、東洋医学の漢方や鍼灸で症状を改善したケースも多数あります。ぜひ一度お気軽にご相談いただければと思います。

糖尿病は完全に治癒できる病気ではありません。 決して自己判断で治療や通院を中断すべき病ではありません。 当院は近隣の忙しいビジネスマンやOLさんも広く受診いただけるよう、昼休みの時間帯や夕方の時間帯にも対応しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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