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生活習慣病

未来の自分が健康であるために、「今」の生活習慣を見直すチャンスを―

「生活習慣病」という言葉は、皆さんもうすっかり聞き馴染みのある言葉ではないでしょうか。食生活の偏り・運動不足・喫煙・過度の飲酒・ストレスなど普段の何気ない生活習慣の中に忍び寄る、実はやっかいな病態です。しかしその名の通り、生活習慣を見直し、改善すべきポイントに気づくことでそのリスクは著しく下がることもまた、大きな特徴です。未来の自分が健康であるために、今立ち止まって生活を見直すことは大きなチャンスとして捉えていただきたいと思います。

生活習慣病ってどんなもの?

食生活・運動不足・睡眠・飲酒・喫煙などの生活習慣に関連して発症、病状が進行・悪化する疾患の総称が「生活習慣病」です。生活習慣病に関連する代表的な病として

●がん
●心臓病
●脳卒中
●糖尿病
●高血圧
●脂質異常症(高脂血症)
●肥満

などが挙げられます。

また発症しても早期の生活習慣の改善により重症化を防いだり、発症の予防が可能という点がこの病気の大きな特徴です。生活習慣病はかなり振り幅の大きな病です。健康診断や人間ドックを通じて早期に異常が見つかり、改善が見込める程度の軽い症状の方もあれば、発見時、すでに重度の糖尿病や高血圧を発症しており、すぐに治療をスタートする方など人によって状況はさまざまです。

どんな問題が起きるの?

そもそも生活習慣病とは何が問題なのでしょう?

それを紐解くために、「生活の質(QOL:Quality of life)」をひとつの指標として考えてみましょう。人間はただ物理的に一日でも長く生きることができれば幸せかと言うと決してそうではないと思います。例えば、脳卒中の発症により長期の寝たきり生活を余儀なくされたり、慢性腎臓病による週3回の透析、狭心症による運動制限、2型糖尿病による失明、動脈硬化性疾患による下肢切断、高血圧による心不全・・・など、生活習慣病が老後の生活に与える影響は非常に深刻な問題となります。

個々人への影響はもちろんのこと、老老介護の問題に直面している現代社会へ与える影響は計り知れません。個人にとっては生活範囲の縮小、社会にとっては経済力の縮小へと大きく繋がっていく問題でもあります。「生活の質(QOL:Quality of life)」という観点でこれからの御自身の人生を眺めると、やはり今の生活を見直し改善していくことはとても重要な取り組みだと思います。

どんな種類があるの?

●2型糖尿病
●(高脂血症を含む)脂質異常症
●高血圧
●肥満症
●痛風
●慢性腎臓病(CKD)
●動脈硬化性疾患(脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症)
●アルコール性肝疾患
●非アルコール性肝疾患(NASH)
●メタボリックシンドローム
●慢性閉塞性肺疾患(COPD)
●癌の一部(肺癌・大腸癌・乳癌・子宮体癌)
●骨粗鬆症

などといった病が考えられます。

メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)

内臓など体内に脂肪が蓄積することをベースに、糖や脂肪の代謝異常(糖尿病・高脂血症など)、高血圧などのそれぞれが影響しあって、狭心症や心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化性疾患を合併します。それぞれが軽い症状であっても、それらが2つ3つと重なっていくことで負のスパイラルが起き、結果的に重い合併症を引き起こします。

進行予防という観点からもタイミングを捉え、適切に対処することがメタボリックシンドロームには重要です。地域によって異なりますが日本国内でのメタボリックシンドロームの有病率は、男性が9~23%、女性が2~9%と言われています。

●糖尿病の手前の耐糖能異常
●服薬をする程ではないが毎年指摘される高脂血症
●血圧150/95程度の軽い高血圧

などは東洋医学的には「未病」と考えられます。無症状ながら単独ではなく複数が同時に存在することで動脈硬化を引き起こす可能性があり黄色信号の状態です。つまり「未病」も決してあなどることはできませんので要注意です。

どういう治療法があるの?

「早期発見・早期治療」は生活習慣病の大原則です。具体的な治療法としては食事療法と運動療法がメインとなります。

食事療法

生活習慣病は体内に脂肪が蓄積することで起きるものですが、安易にカロリー制限のみで対処できるようなものではありません。カロリー制限では体脂肪を減らすことはできても、筋肉量の減少を招きます。筋肉量が減少することで基礎エネルギー代謝が減少し、本来減らせるはずの消費エネルギーの割合が、より少なくなるという本末転倒の事態を招きます。つまり本来アプローチすべき脂肪消費が減り、それだけでなく代謝効率も悪くなるので全身の倦怠感など、新たな課題が生じてしまい、リバウンドも起きやすくなるなど悪循環を招く可能性があります。正しい筋肉量を維持するためには蛋白質摂取など、総合的なカロリー摂取を念頭に置いた治療を心がけることが重要です。

とはいえ、摂取カロリーを減らすだけで寿命を延ばせる可能性もあります。1935年に発表されたマウス実験の「カロリーリストリクション(CR)仮説」では、元の摂取カロリーから70%減らすことでマウスの寿命が延びたという報告があります。「腹8分目」「腹7分目」といった、食事の適量が長寿と関係することが伺えます。

また2000年には、摂取カロリーを減らすことでサーチュイン(寿命を長くすることができる遺伝子の第1号)という酵素が活性化し、長寿に関わる抗酸化酵素などのシステムを増強させたという報告も発表されています。視点を逆転させれば、摂取カロリーが多ければつまりメタボリックシンドロームなどの生活習慣病が起き、その結果としてサーチュインの活性が落ち加齢が促進するということにも繋がります。多くの生活習慣病は加齢を促進させ直接的に寿命を左右するだけでなく、血管年齢など生活の質にも大いに関わる影響を与えるものですから要注意です。

運動療法

上記の食事療法のジレンマを打開するのが運動療法です。継続的な運動で筋肉を増強し、基礎エネルギー代謝を上げることで効果を発揮します。同時に運動そのものがエネルギー消費を促すため即効性が期待できます。

禁煙

喫煙は交感神経を刺激し血圧を上げ、脈拍を増やします。高脂血症や高血圧の方は、心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化が進みやすくなります。また、糖尿病の患者さんにとっては糖尿病性腎症などの合併症リスクも高まります。喫煙はさまざまな生活習慣病の治療を妨げる多くの要素を持つだけでなく、合併症リスクを引き上げる大敵なのです。

当院の診療・治療の方針

メタボリックシンドロームを中心とする生活習慣病から具体的に離れる対策を講じることで、エイジングケアを意識した診療・治療を行っています。必要に応じて西洋薬と漢方薬を併用し、オーダーメイド感覚での治療を考えています。

また、当院では看護師によるアドバイスも行っています。パンフレットを元に、丁寧にわかりやすく具体的な食事の改善方法や運動内容のご紹介もしています。診察時に聞きそびれたこともぜひ遠慮なくお声がけいただければと思います。また高血圧の方には血圧手帳をお渡しするなど、必要に応じて細かなサポートができるようスタッフ一同心がけています。

その他

戦後から平成までの健康政策は疾病治療型(病気になってから国民皆保険が対応)でした。このままでは医療費がかかりすぎて、健康保険が破綻するのも、もはや目前です。今や予防医学の重要性や未病と呼ばれる段階での早期対応が声高に求められてきています。実際、厚生労働省はそのような対策にシフトチェンジを図っています。

2015年、ルイ・パストゥール医学研究センター分子免疫研究所の藤田所長は、東洋医学の生活習慣病を含めた抗加齢医学に関して以下のような見解を述べています。

「抗加齢医学においては、これまでの医学と異なって、個々の病気や臓器単位の病的変化を回復させ、予防するためにそれぞれの個別の治療手段を講じるのみではなく、縦割りの隔壁を取り除き、個々人を身体と精神の織り成す一体のものとして全体論的(ホリスティック:holistic)に対策を考えていくということが重要になる。(中略)これまで、わが国の医学が保険診療の枠にとらわれていた縛りも乗り越える必要がある。さらに、それだけではなく、東洋医学や、代替医療といわれてきた健康療法、食事・運動・精神療法、美容療法なども、副作用を排除しうるという条件を重視しながら、幅広く研究し、既成概念にとらわれず、この目的のために適切に利用することが、抗加齢医学の目標と手段として特に重要になると考えられる。」(『アンチエイジング医学の基礎と臨床』より引用)

私もまったく同感です。医療の在り方が本質的に問われる時代に突入しています。西洋医学と東洋医学の持てる力を今こそ融合し、健康的な生活を送るためのより良い解決策、診療内容を提供し続けていきたいと考えています。

生活習慣病は重症化を防ぐことが可能です。健康診断や人間ドックなどで気になる結果が表れた際には決して悲観せず、ご自身の生活スタイルを見直す良い機会と捉えてぜひ前向きに診察室にお越しいただければと思います。

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