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浮腫(むくみ)

原因不明も珍しくない「浮腫(むくみ)」

浮腫は外見的に比較的わかりやすい症状ですが、広範囲に渡っている場合や急激に起きた場合など、原因によっては痛みを伴うことがあります。一方で頻度の多い特発性浮腫や沈下性浮腫などは安静にしておけば翌朝には症状が改善されていることがあります。それゆえ患者さんご自身では軽く捉えがちになる症状ではありますが、心臓・肝臓・腎臓の病気が隠れているケースもあるため注意が必要です。

また、浮腫はある程度経過を併せて観察しなければ診断が難しい場合もあります。正常範囲のものなのか病的なものなのかの見分け方も、浮腫が明確な数値的指標を持たないという特性があるがゆえに、ある程度症状が進行した段階でなければ明らかな診断をつけることが難しいという側面も持ちます。

どんな症状が出るの?

一般的には、

●手足がむくむ
●顔がむくむ

といった症状です。指輪や靴の窮屈さでご自身で気づかれるケースも多いです。診察室では「太った」と表現される患者さんもいらっしゃいます。

「浮腫」とは間質液量の増加によって触れることのできる腫れです。この間質液は胃袋の中の液体とも違う、血管やリンパ管にある液体とも違う液体ですが、それが増えている状態を指します。

しかし意外とこの浮腫は捉えどころがない側面を持ちます。手術の前後には体重の増減をよく計ることがありますが、それは浮腫があるかどうかを確かめています。しかし浮腫が実際どれくらいあるのかは、体温や血圧のように数値として客観的に評価することがなかなか難しいのが現実です。専門的には「サードスペース」と呼ばれます。

むくみがあってもすぐに回復してしまったり、生活に特に支障がない状態であれば患者さんの方で経過を観察いただくことも良いとは思いますが、今までむくみが全くなかった方が違和感を感じるようになった場合は、重い病気が隠されている可能性も考えられます。

●足の重だるさ
●足の冷え
●しびれや痛みを伴う

といった場合は早めの受診をおすすめします。

どうして起きるの?

実はいまだに浮腫が起きる原因は厳密には確定していません。2012年からの新しい考え方によると、浮腫は身体のあるバランスが崩れていると言われています。人間の体液とは本来、毛細血管の全ての領域で血管内を巡っているものですが、その毛細血管のどこの部分からも漏れ出る可能性を持っています。万一、流出した際にも本来であればリンパ管から再度血管内に戻るよう調整がなされるものです。しかしその過程に破綻が起きている場合、浮腫が起きるとされています。

その破綻の原因は何かというと、血管とリンパ管の間にある領域を間質といいますが、

●血管内から間質へ体液が移動することが増えていること
●タンパク質などの栄養成分が減少していること
●毛細血管そのものの障害
●リンパ管の障害

が主なものです。さらには加齢によっても浮腫の量は増えます。

どんな種類があるの?

全身に起きるものと局所に起きるものがあります。

●全身性
原則として身体の両側に起きるもの

●局所性
身体の片側に変則的に起きるもの

に分けられます。

どんな病気が考えられるの?

全身性のむくみ

代表的なのは心臓・肝臓・腎臓に起きる病です。

●心不全
●肝硬変
●腎不全
●緊急性のある浮腫

が隠れていることがあります。他にも

●ホルモン系の病気
●月経関連
●薬剤性(ステロイドや降圧剤など)
●特発性浮腫と呼ばれる原因のわからない浮腫

があります。

特発性浮腫は比較的若い女性に多くみられます。横になればむくみが取れるが、立位の状態では尿量が減ってしまい、夕方になると体重が1.5㎏以上増えているような状態になります。尿の出方が変わることが特徴的です。

毎日立ち仕事をされている方などは、夕方になると足がむくんでパンパンになるという経験をお持ちの方も多いと思いますが、これは沈下性浮腫と呼ばれる全身性の代表的なものです。原因がまだはっきりとは解明されていません。程度の軽いむくみではありますが、むくみにお悩みの方にとっては辛い症状であり、ないがしろにはできないものです。

局所性のむくみ

●ピルを使用した後に起きる下半身(特に膝裏)の静脈閉塞
●リンパ管によるトラブル
●蕁麻疹などの熱による血管トラブル
●遺伝性の血管過敏性によるもの

などがあります。

どうやって診断するの?

浮腫はその原因が多種多様です。まずは現在の患者さんの生活背景を知ることが重要です。そのため特に問診を重視します。その他にも、

●基礎的な病気の有無
例:糖尿病の有無や発症からの期間、腎臓の合併症の有無など

●尿検査
●血液検査

などを行います。患者さんの置かれている状況によっては西洋医学的な検査を必要に応じて追加します。

ただ、患者さんご本人の主観的な症状の訴えである場合は、浮腫の程度を多角的に客観的に診断することは意外と難しいケースも少なくありません。そのため患者さんの体重や経過を2回、3回と診察していく中で浮腫の有無を判断することもあります。また、あくまでもご本人が手の握りにくさやむくんでいるという感覚をお持ちで、違和感や苦痛を感じているならば、浮腫があると判断する場合も東洋医学的にはあります。

どういう治療をするの?

大枠としては二つあります。

●西洋医学的に病名のつくものは基礎疾患の診断に応じてそれぞれの治療が必要となります。

例えば心不全の場合は利尿剤を、糖尿病かつ腎臓病の合併症がある場合でかなり重い状態である方は人工透析などを必要とします。また静脈閉塞がある場合は外科的な対応が必要となります。

●特発性浮腫や沈下性浮腫といった原因不明の病名がつきにくいものについては積極的な西洋医学の治療法はありません。西洋医学的に治療法が確立されていないものに関しては東洋医学的な漢方や針灸による対応を行います。

リンパ浮腫に対しても西洋薬においてクマリンやフラボンという治療薬がありますが、明らかな有効性は証明されていません。針灸に関してはいわゆる美容針灸でもよく言われるように短時間でフェイスラインなどのむくみが取れるなど、即効性ある効果が期待できます。リンパマッサージや温熱療法などもあります。漢方においてもむくみを取る薬は数多くあります。ご相談ください。

当院の診療方針

当然ではありますが「見逃してはならない病気は決して見逃さない」をモットーに、肝硬変・心不全・腎不全など緊急性を要する浮腫の有無を西洋医学的な見地でまず確認します。当院でできる血液検査・尿検査・レントゲン・心電図など必要に応じて検査いたします。最初から東洋医学的なものとして全ての浮腫やむくみに対して漢方や針灸を使用するわけではありません。ただ実際の診察現場における患者さんの症状の多くは、緊急性の少ない原因不明のものが多いことも事実です。その際は利尿剤などの西洋薬をやみくもに使用するわけにはいきませんが、東洋医学や漢方、針灸を用いることを当院では得意としています。

そもそも東洋医学には「気」「血」「水」という考え方があり、中でも「水」をどのように取り扱うかは重要です。特に浮腫に関しては東洋医学においては「水毒(水滞)」と捉えることが多いです。

具体的には、五苓散(ゴレイサン)・柴苓湯(サイレイトウ)などの薬を浮腫に対しては処方することが多いです。西洋医学にはない考え方である、身体を温めて浮腫を取る附子(ブシ)という生薬もあります。患者さんの年齢や背景にもよりますが、数か月から半年程度の経過、場合によっては年単位での経過を診ることもあります。

むくみの治療は西洋医学においても東洋医学においても難しいとされるケースが多いです。保険診療による粉薬(エキス剤)での治療は、例えば慢性的な糖尿病の合併症や腎不全をお持ちの患者さんの浮腫については取り切れないことがあります。「水」を調節する漢方の使用は保険診療では狭く限られている一方、自由診療ではさまざまな生薬を細かに匙加減で調整が可能です。

私が拝見した患者さんの実例ですが、糖尿病の合併症で腎臓をかなり悪くされている方がいました。透析を必要とすべきかどうかの瀬戸際にありましたが、透析をしたくないというご本人の強い希望があり、自由診療における煎じ治療を施しました。分消湯(ブンショウトウ)という漢方薬が、劇的な効果を発し、数年経過した現在も透析を免れておられるほどの状態を維持されております。他にも附子(ブシ)を使用する壮原湯(ソウゲントウ)という薬を膵臓癌による浮腫の患者さんに用いて劇的にむくみを取ったケースも経験しました。さまざまな病院を受診されて浮腫をご相談されても「治療法がない」と言われた経験をお持ちの患者さんにこそ、当院の自由診療はさまざまな手法をご用意しておりますので少しでもお力になれればと考えております。

その他

冷えや緊張状態、日頃の運動不足などの影響により、人間は自身の若い頃の体内にあった毛細血管のボリュームを維持できなくなり、使われなくなった毛細血管は死滅すると言われています。10年、20年経過することにより、本来は生かすことができたはずの毛細血管の割合もどんどん減ってゆき浮腫を引き起こします。毛細血管のトラブルによって起きたこのような浮腫には、生活習慣の改善でエイジングケアとして毛細血管の割合を減らさず、むくみを引き起こさない工夫をすることが可能です。毛細血管は人間の血管の中で95%強を占めます。浮腫は毛細血管とそこから漏れ出た物質がリンパ管にどう入るかというところに問題があります。毛細血管の量が減少し機能が落ち、さらには加齢と共に脆弱になります。糖尿病などは特に毛細血管が硬くなり、死滅する方向へと向かいます。

20代と60代での毛細血管の割合を調べた研究が2011年にありましたが、その報告によると約6割の毛細血管の減少を認めたと述べられています。そもそも毛細血管は本来身体の隅々まで酸素を送り、二酸化炭素を肺へ戻し、不必要になった老廃物を処理する場所に持って行くためのスタート地点です。東洋医学の言葉で血液の循環が悪い状態を「オ血(オケツ)」と言いますが、毛細血管の死滅とオ血および浮腫とは深いところでは繋がっているのかもしれません。

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